IEEFA最新報告書 石炭火力大手の丸紅は世界的な再生可能エネルギーへの転換に応じなければならない

2018年7月31日(IEEFA.org)- エネルギー経済・財務分析研究所(Institute for Energy Economics and Financial Analysis 、以下IEEFA)は、本日公表する報告書の中で、丸紅の石炭火力発電パイプラインが、急速かつ世界的なエネルギー市場の変容の煽りを大きく受けている一方、同社の再生可能エネルギー事業は電力事業の収益性向上を後押しし得るとしている。

IEEFAのアナリストであるサイモン・ニコラス氏は、「多くの競合相手が世界的なクリーンエネルギーへの移行を受け入れている中、丸紅が計画している石炭火力発電量は日本の他社のそれの2倍に近い。同社は再生可能エネルギー部門においても着実に前進しているが、衰退傾向にある石炭火力発電産業を引き続き重視しており、被る必要のない風評被害とコスト負担のリスクを創り出しつつある」と説明する。

丸紅は、計画中の石炭火力発電所新設による発電能力(合計13.6ギガワット)において、世界第11位の石炭火力発電所開発事業者である。日本では、住友共同電力(7.5ギガワット)、電源開発(J-Power)(4.6ギガワット)、東京電力(4.6ギガワット)、中国電力(4.2ギガワット)に大きく水をあけており、丸紅が石炭火力発電所開発においてトップ企業たる所以である。その他、日本の大手複合企業では、三菱はわずか1ギガワット、三井物産に至ってはゼロである。

さらに、ゼネラル・エレクトリック(GE)、シーメンス、三菱重工業等、石炭火力発電向け機器を扱う企業は、火力発電への過剰投資の結果、深刻な苦境に立たされてきた。

IEEFAによると、丸紅は再生可能エネルギー市場において既に実績があり、同エネルギーにおけるチャンスは十分にある。台湾と日本の洋上風力発電市場は急速に拡大しつつあり、丸紅がヨーロッパ市場で築いた経験を活用することができる。同社が太陽光発電において既に知名度を上げている中東では、太陽光エネルギー事業が目覚ましい伸びを見せている。

丸紅は、今日までに再生可能エネルギーにおける実績を有しており、同社がエネルギー転換を全面的に受け入れるならば、世界でクリーンエネルギーの第一人者として認められる可能性はある。これが現実となるためには、戦略面で課題の多い石炭火力発電開発事業を放棄する必要があるだろう。

政府、投資家、市民社会による二酸化炭素排出対策を求める動きが世界的に拡大する中、丸紅は、現在および潜在的な投資家間の評判を落とすリスクを負うという大きな問題に直面している。

ニコラス氏は、「国際エネルギー機関(International Energy Agency)によると、2040年までの毎年、全世界で160ギガワット分の再生可能エネルギー施設が増設されれば、再生可能エネルギーによる発電能力への投資額は総投資額の3分の2を占める。これに対し、石炭火力発電の増設による発電能力は毎年わずか17ギガワットである。この流れに逆行することは、愚かであるだけでなく、投資家、市民社会、政府の目にはますます有害でもある。」と言う。

今日、日本政府高官は、日本国内および海外における石炭火力発電所建設に国が支援した事実は、二酸化炭素排出削減に向けた行動への世界的な期待に背いていると強調している。

安価な再生可能エネルギーが石炭産業技術に大打撃を与えていることから、日系銀行および投資家も、石炭産業に背を向ける国際金融機関に追随しつつある。

「第一生命と日本生命は既に、アライアンス、チューリッヒ、スイス・リー、アクサといった、石炭に見切りをつけつつある拡大中の有力保険会社群の仲間入りをしている。」とニコラス氏は言う。

両企業共、2018年3月31日現在、丸紅の10大債権者であり、同社にとってこの影響は大きい。

さらに、日本企業はますます再生可能エネルギーを導入している。富士通は、電力に再生可能エネルギーを使用する企業のグループであるRE100に加盟したばかりで、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにすることを目標に掲げている。

「現在、世界でも日本でも、金融機関や企業は脱石炭火力に向かっている。丸紅は取り残されないよう注意しなければならない。」

報告書中のその他の所見:

  • 日本の外務省に助言を行うため2018年2月に立ち上げられたエネルギータスクフォースは、現在の日本のエネルギー政策は世界における日本の競争力を損ねていると述べた。河野太郎外務大臣は2018年1月、「日本は、再生可能エネルギーの大幅な下落や気候変動に直面している中での脱炭素化への不可避な移行といった世界の流れに反応することを非常に長い間怠ってきた。」と発言した。
  • 日本の輸出信用機関や開発援助機関は、石炭火力発電への支援を行っていることで批判にさらされており、世界各地で再生可能エネルギー事業への資金協力を開始している。
  • 丸紅がアジアとアフリカで実施する石炭火力発電事業 は、地元のキャンペーン団体から強い反発に遭っている。このような団体はよく組織化されており、その要求は通り易い。このため、石炭火力発電事業に深刻な遅れやコスト増加がもたらされている。
  • 2018年6月に開催されたG7サミットに至るまでの間に、累積の総管理資産が26兆ドルに上る世界有数の投資家グループは、石炭火力発電からの段階的撤退と気候変動への取組を要求した。
  • 日本の住友三井フィナンシャルグループは、石炭に対する立場を見直す可能性を示した。この動きに石炭に融資する他の日本の大手金融業者が続くことはほぼ確実である。融資面で脱石炭の勢いが世界と日本の両方で高まっているからである。
  • 日本の主要な複合企業は一般炭鉱部門から撤退しつつある。三菱商事はオーストラリアの一般炭鉱の株式売却に動いている。三井物産は2017年、環境への懸念から新規の一般炭鉱への投資を計画が白紙であると発表した。双日も一般炭事業を縮小する計画である。丸紅自身も、一般炭鉱運用への投資を打ち切っている。

レポート全文はこちら:http://ieefa.org/wp-content/uploads/2018/07/Marubenis-Coal-Problem_July-2018.pdf

問い合わせ:

ティム・バックリー(オーストラリア) tbuckley@ieefa.org +61 40 810 2127

サイモン・ニコラス(オーストラリア) snicholaas@ieefa.org +61 405 831 614

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IEEFAについて:エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は、エネルギーと環境に関連した金融・経済問題の国際的な研究・分析を行う。IEEFAの使命は、多様性、持続可能性、収益性に富むエネルギー経済への移行を加速させることである。

ティム・バックリー(IEEFAエネルギー融資研究ディレクター):オーストラリア・シドニー在住。30年に渡り金融市場の研究に携わり、内17年はシティグループ証券(Citigroup) にて常務兼オーストラレーシア株式研究所長を務めた。中国およびインドのエネルギー転換、および、一般炭中心事業の結果起こり得る座礁資産リスクについて幅広く研究している。

サイモン・ニコラス(IEEFAエネルギー研究アナリスト):オーストラリア・シドニー在住。ロンドンのインペリアル・カレッジを首席で卒業。イングランド・ウェールズ勅許会計士協会フェローである。ロンドンとシドニーにて、ABNアムロ銀行、マッコーリー銀行、オーストラリア・コモンウェルス銀行に勤務し、金融部門に16年間携わってきた。

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